結婚や就職など、節目を迎えるにあたって始まる二人の新生活。初期費用は、家具や家電の購入、引っ越し費用、そして共同生活に必要な日用品や食料品など様々なものが含まれています。二人暮らしを始める前に、おおよその費用を洗い出し、お互いに共有・協力していくことで順調なスタートを切り、新しい生活を楽しみましょう。

二人暮らしを始めるにはいくら必要?

初期費用は大きく分けて、引越し費用、賃貸契約にかかる初期費用、家具、家電の4つに日用品や消耗品が加算されたものになります。中でも、賃貸契約にかかる費用は大きく、お得な情報や条件を知って自身で費用を抑える工夫ができるかが負担を少なくできるかの鍵です。

引越し費用

距離や人数、荷物量によって引越し費用は異なります。また、2月〜4月は引越しの繫忙期にあたりますので、価格設定が割高になっていることがあるので注意しましょう。これから二人暮らしを始める想定ですので、単身の引越し費用をお伝えします。

引越しにかかる距離費用
~50km(同市区町村内程度)4万円~4万5千円
~100km(隣接都道府県程)5万円~6万円
~300km(同地方内程度)6万5千円~8万円

3月〜4月の引越し価格は、上記の平均費用の2倍ほど価格が上昇するので前もって準備しましょう。

賃貸契約にかかる初期費用

賃貸契約にかかる費用は、敷金、礼金、前家賃、仲介手数料、火災保険料があります。

敷金は、退去時の原状回復費用として請求されるもので、基本的には原状回復にかかった費用以外は差し引かれて手元に戻ることが大半です。目安の費用は、家賃1ヶ月分くらいです。

礼金は、大家さんに対するお礼として支払う費用です。敷金とは違い、返金されることはありません。目安は家賃1ヶ月分となります。ここ最近は、敷金・礼金がない賃貸物件も増えているので、少しでも費用を抑えたい場合は、「敷金・礼金なし」を条件に加えて探しましょう。

前家賃は、入居する月の家賃を前払いすることです。例えば、4月から住む予定で3月に契約した場合、4月分の家賃をあらかじめ初期費用として支払います。そのため、目安の費用は家賃1ヶ月分です。また、「4月10日から入居したい」など、月の途中から入居する場合は日割りされた家賃を支払います。

仲介手数料は、物件の手続きや内見時の案内などを担当する不動産会社へ支払う費用です。家賃0.5〜1ヶ月分に消費税を加えた金額が目安です。「家賃の1ヶ月分」と法律では上限のみが定められているので、費用を抑えたい場合は不動産会社と交渉してみてください。

火災保険料は、火災や水漏れといったトラブル時に備えて加入しておく保険です。不動産会社で案内されるものや個人で探した保険に加入しましょう。個人で契約した場合は、不動産会社へ証明書の提出を求められる場合があるので注意しましょう。目安の費用は、約5千円〜2万円です。

さらに、不動産会社や物件によって異なりますが、消臭費用やトラブルサポート費用などが発生することがありますので、見積書の内容に目を通し、気になる項目があった場合は、不動産会社へ直接確認するといいでしょう。

東京23区全体の1LDKの平均家賃相場が約15万円ですので、

  • 敷金:15万円
  • 礼金:15万円
  • 前家賃:15万円
  • 仲介手数料:15万円
  • 火災保険料:2万円

と、賃貸契約の初期費用の総額は62万円ほどとなります。こちらはあくまで目安なので、多めに準備しておくと心強いです。

家具の購入費用

新居に移ったその日からゆっくり眠るため、ベッド派の方はベッドの購入が必要です。費用の目安は約5万円です。

二人暮らしをする場合、必要だと思って準備していた家具が部屋内のスペースを圧迫したり、相手との好みが合わなかったりと、住んでみて初めて気付くことも数多くあります。絶対に必要な家具以外は生活していく中で少しずつ揃えて、無駄に出費をせずに理想の部屋にしていきましょう。

  • ベッドフレーム(ダブル用・マットレス付き) 約1万円~5万円
  • 布団カバーセット(布団カバー2セット、枕カバー) 約1,000円~4,000円

家電の購入費用

家電は、1つ数万円かかるものが多いので、出費を抑えるためにも最低限のものを揃える程度にすることをおすすめします。冷蔵庫、洗濯機、照明、電子レンジの4つの家電は、料理や洗濯など生活する上ですぐに利用するので、引越しから早めの段階での購入をおすすめします。購入費用の例は下記で、総額は約25万円です。

  • 冷蔵庫(300L) 約6万円~15万円
  • 洗濯機(縦型・6㎏) 約3万~5万円
  • 照明 約2,000円~5,000円
  • 電子レンジ(21L~25L) 約6,000円~1万円

ここまで、二人暮らしに必要になるものや金額を紹介してきました。気になる4つの総額は、なんと約100万円※です。二人で折半することを考えても金額が大きいので、二人暮らしを始める際の準備は計画的に行うことが重要です。

また、前述したように初期費用の中には敷金・礼金など抑えられる費用もありますので、一度状況に合わせて試算してみてください。また、家電などは新品で購入する選択肢以外にもフリマアプリを利用したり、使っていない家具を友人に譲ってもらったりして費用を抑えることも可能です。

※引越し費用は~300km(同地方内程度)8万円で試算

二人暮らしがうまくいくコツは?

どれだけ気を許した関係であったとしても、ささいなことですれ違いが起きてしまうこともあるでしょう。生活するうえで必要な価値観やルールを事前に話し合っておくことや、相手への気遣いを忘れない配慮が、お互いの関係をよくしていくことにつながります。ここでは、二人暮らしを成功させるポイントをお伝えいたします。

1 ルールを決めておく

生活を共にし、長い時間を共有していくと何が起こるかは分かりません。そのため、トラブルを未然に防ぐために、最初にルールを決めておきましょう。これには、家事の分担や費用の負担、プライバシーの尊重などが含まれます。例えば、金銭負担が大きい方は家事の割合を少なくする、家事も金銭面も折半で負担するなどです。話し合いでお互いの状況を理解し、双方の合意を得てルールを決めておきましょう。

結婚を前提に暮らしている場合は、半年や1年といった期限を設けて二人暮らしをスタートさせれば次のステップでつまづくことを防げます。また、どちらかがルールを守れなくなった、環境に変化が生じたときは、正直に話し合いをして柔軟にルールを変えることが大切です。

2 金銭感覚を把握しておく

お金に関する認識の違いは、関係がギクシャクするきっかけになりがちです。生活費やお互いの出費に関するルールを明確にし、お互いの金銭感覚を理解することで、不満のない家計管理が可能です。

また、自分がどんなものに出費しているか分からず、なんとなくお金を使っていませんか。お互いの出費を確認することももちろん重要ですが、自分の金銭感覚を改めて知っておき、我慢ポイントを見出しておくことで、相手との衝突を回避できます。インターネットなどで、マネー診断が手軽にできるのでやってみるといいでしょう。


お互いのチェック項目
  • 固定費の割合(家賃、光熱費、食費など)
  • 何にお金を使うか(買い物、趣味、勉強など)
  • 貯金するタイプか使い切るタイプか
  • ギャンブルや嗜好品(タバコ・お酒など)の出費があるか

3 ストレスや不満は溜め込まない

相手とのコミュニケーションにおいて、感情を素直に伝えることは大切なことのひとつです。ストレスや不満があれば遠慮せずに話し合い、解決策を見つけましょう。ただ「これは嫌」「なぜやってくれないの?」と、一方的に押し付けるだけでは相手に抵抗感が生まれるものです。「こうしてくれると助かる」などポジティブな言い回しで伝えて、お互いに思いやりを持って接し、積み重なった感情が大きな問題に発展しないように心がけましょう。

4 感謝の気持ちを忘れない

お互いが助け合い、支え合っていることを意識することは、二人の関係を保つのに大切です。相手を想ってお互いにしていたことがいつの間にか当たり前になり、感謝の気持ちを伝えないことが増えると、お互いに不公平感やストレスを溜め込んでしまいます。

二人暮らしは、お互いに協力して生活が成り立ちます。感謝の気持ちを忘れずに、日常の小さな幸せや善意に「ありがとう」「うれしい」など感謝の言葉をかけることが、良い雰囲気を保つコツです。

5 相手を尊重する

今まで別々の場所、違う環境で生活してきた者同士が一緒に共同生活するとなれば、生活の価値観が違っていて当たり前のことです。個々の違いを尊重し、相手の意見や価値観を理解することは、健全な関係を築いていくためには欠かせません。事前に対話をし、お互いにとって快適で居心地の良い環境を作り上げていきましょう。

6 ひとり時間をつくる

二人暮らしでもひとり時間は重要です。常に自分以外の存在が周りにいることで、無意識に気疲れを起こしていることがあります。お互いが趣味やリラックスする時間を持つことで、気分転換になり、共同生活がより充実した時間になります。また、相手にイライラしているときは別の部屋に移動したり外出したりするなど一旦距離を取り、冷静になってから話し合いをすることが効果的です。

二人暮らしの初期費用やうまくいくポイントをお伝えいたしました。これらのポイントを実践することで、準備がより順調に進み、新しい暮らしが楽しくなることでしょう。